「その他」のQ&A
借金の金額がどれくらいなら自己破産したほうがよいですか?
1 法律上は債務額の下限はありません
一般的には、自己破産は多額の借金がある人がするもの、というイメージがあるかもしれませんが、法律上は債務額の制限はありません。
債務額や収支の状況からみて、返済が不可能といえる状態であることが、自己破産を利用する条件とされています。
理論的には、借金が数万円程度であっても、返済不能といえる状況であれば自己破産は可能です。
ただし、現実的には、借金が少額であれば自己破産以外の債務整理の手段で対応することが多いと考えられます。
実際に支払い不能とまではいえないことが多いためです。
以下、自己破産の要件である支払不能状態について、および、自己破産の流れについて説明します。
2 自己破産の要件のひとつは支払不能といえる状態であること
破産法第15条第1項によれば、「債務者が支払不能にあるときは、裁判所は」「破産手続を開始する」とされています。
支払不能とは、破産法第2条第11項によれば、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」とされています。
明確な数値基準はありませんが、消費者破産(いわゆるサラリーマンの方の破産)や、小規模な個人事業者の方の破産の場合、収支の状況からみて、すべての債務を数年間で分割しても返済できない状況であるならば、支払不能と判断されるといわれています。
借金の金額が数十万円であっても、収入が少なく、最低限度の生活費を支払うとお手元にほとんどお金が残らないという状況であれば、支払不能と判断される可能性があります。
3 自己破産の流れ
自己破産は、以下のような流れで進められます。
まず、弁護士に相談し、債務や収支状況を整理したうえで、自己破産が問題解決のための適切な手段であるかを検討します。
自己破産をすべき状況である場合、弁護士からすべての債権者に対して受任通知を送付し、貸金業者等からの請求を一旦停めるとともに、破産申立ての準備を開始します。
具体的には、破産(免責)申立書、財産目録、家計表の作成、収入や支出、財産の状況を裏付ける資料(給与明細や、預貯金通帳、有価証券残高証明書、不動産の登記と査定書、保険解約返戻金計算書など)の収集をします。
書類や資料が揃ったら、裁判所に申立てを行い、書類に問題がなければ破産手続きが開始されます。
破産手続きは、債務者の方の財産や債務の形成原因などに応じて、同時廃止事件または管財事件に振り分けられます。
同時廃止事件になった場合、特に問題がなければ一定期間経過後に免責許可決定がなされ、手続きは終了します。
管財事件になった場合、破産管財人が選任され、債務者の方の財産の調査・換価や、債務が増加した原因の調査が行われます。
その後、債権者集会や免責審尋が行われ、問題がなければ免責許可決定がなされて破産手続きは終了します。
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