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自己破産で通帳の提出が必要となる理由と注意点
1 自己破産において通帳は重要な資料となります
自己破産の申立ての際には、債務者の方が持っているすべての銀行口座の通帳の写しが必要となります。
多くの場合、申立て前2~3年間の通帳の写しの提出を求められます。
そして、通帳の写しは、自己破産の準備や手続きにおいて、債務者の方の財産調査や免責不許可事由の有無の調査に用いられます。
通帳は、債務者の方のお金の流れを客観的、機械的に記録したものであることから、債務者の方の財産状況等を調査するための資料としてとても有用なものなのです。
以下、自己破産において通帳の提出が必要な理由の詳細と、通帳を提出する際の注意点について説明します。
2 自己破産において通帳の提出が必要な理由
自己破産は、原則として債務者の方の財産を換価し、その売却金を債権者への支払いに充てて、返済しきれない部分については返済を免除してもらうという手続きです。
そのため、債権者の利益を保護するために、債務者の方の財産調査はとても重要になります。
また、入出金の履歴は、免責不許可事由の有無の判断をするための情報を得るきっかけにもなります。
例えば、まず破産申立て時の預貯金の金額が一定金額を超えていれば、管財事件として債権者への配当に充てます。
過去に一度に多額(一般的には10万円以上)の引き出しや送金がある場合には使途を確認し、手元に現金として保有していないか、形式的に他人の口座に移しているだけでない、支払不能になった後に一部の債権者のみに返済していないか、浪費やギャンブルに使ったのではないかなどを確認します。
逆に、まとまった金額の入金がある場合、支払不能になった後に借入れをしていないか、債権(貸しているお金や、入金前の売り上げなど)がないかという事情を確認することもあります。
3 通帳を提出する際の注意点
まず、すべての通帳が必要となりますので、申告漏れとなっている口座がないか、今一度家などを探しましょう。
かつて勤務していた会社の経費精算口座などは、見落としやすいので注意しましょう。
次に、代理人弁護士や裁判所、破産管財人から通帳の入出金履歴についての確認があった場合には、正直に、正確に説明をすることが最も大切です。
大きな出金があっても、それがご家族の医療費であったり、過大でない子供の教育費、生活上必要な自動車の修理費などであれば問題はありませんので、しっかり説明しましょう。
もし引き出したお金をお手元に隠していたり、他人に形式的に渡していたり、浪費やギャンブルに使ったのであっても、正直に申告し手続きにしっかり協力するのであれば、金額や悪質性の程度にもよりますが裁量免責が許可される可能性は一般的に高いと考えられます。